Derpyはなぜ怖くない?『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』の虎と山神図・民画
要点: Netflixの公式キャラクター紹介によると、Derpyのとぼけたデザインは、韓国の民画に描かれる「とぼけた虎」(바보 호랑이)に着想を得ています。一方、山神図は山神と虎が描かれた歴史的背景を知る手がかりで、Derpyの直接のモデルと確認された作品ではありません。
植木鉢をまっすぐ置けない虎は、怖さよりもおかしさが先に立ちます。『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』のDerpyも、鋭い牙より不器用な振る舞いが印象に残ります。昔の虎の絵がなぜ親しみやすく見えるのか、そこから考えてみましょう。Netflixの公式キャラクター紹介
山神図では、虎の隣にいる人物を見る
虎の絵がすべて「虎とカササギ」の図柄とは限りません。メトロポリタン美術館所蔵の19世紀末の朝鮮の山神図には、赤い衣をまとった山神と虎が描かれています。同館によれば、山神は白いひげをたくわえた老人として、虎とともに表されることがよくあります。メトロポリタン美術館の作品解説
まず、画面の中心に誰がいるかを見てみてください。山神のそばにいる虎を描いた絵と、虎の表情やカササギとの関係を前面に出した絵は、同じ問いに答えているわけではありません。虎という動物だけで一括りにすると、その違いが見えなくなります。
寺院の山神図には、複数の信仰が重なる
韓国国立中央博物館は、山神図を韓国の山神信仰と仏教が出会った例として解説しています。紹介されている山神図でも、年老いた山神と虎が険しい山を背景に描かれています。韓国国立中央博物館の解説
山神図を、昔の超自然的な存在を描いた絵としてだけ見るのは十分ではありません。誰を敬い、どんな願いを託したのかを考えると、映画のファンタジーに登場する生き物とは異なる見方が生まれます。
守り神の虎も、滑稽な虎もいる
国立民俗博物館の2022年の企画展「Sacred Tiger」は、悪い気を払い、人々を守る山神としての虎を紹介しました。これは当時の企画展の説明で、現在開催中の展示案内ではありません。国立民俗博物館の展示記録
一方、大英博物館の公式ショップは、19世紀の虎とカササギの絵について、飛び出した目やゆがんだ顔を権威への風刺と読む見方を紹介しています。これはその絵に対する解釈の一つで、すべての虎の絵に当てはまる決まりではありません。大英博物館公式ショップの作品説明
二つの説明を並べると、虎が威厳とユーモアの両方を帯びることが分かります。恐れられる動物を親しみやすく描いても、その力まで必ず消えるわけではありません。
デザインの着想と物語上の設定を分ける
デザインの参照元と、物語の中での人物設定は分けて考えるとよいでしょう。「とぼけた虎」の影響があるからといって、Derpyが特定の山神の化身だとか、実際の儀礼を再現した存在だとは言えません。ここで取り上げた山神図も、Derpyが直接模した作品とは確認されていません。
次に博物館で虎の絵を見るときは、隣にいる人物や動物、虎の表情にも目を向けてみてください。Derpyの歴史的な正解を一つ探すより、同じ動物がどれほど違う役割を担ってきたかを見るほうが発見があります。「虎とカササギ」の図柄については、DerpyとSussieに関わる虎とカササギの絵も読めます。