牛肉に白ワインは本当にダメ?マーブリング豊富な和牛には白ワインがベストマッチな理由
3行要約
- マーブリング豊富な和牛には、脂の重さを中和する酸味の高い白ワインやスパークリングワインが最適
- 「牛肉には赤ワイン」は安全な選択肢だが、最高のペアリングではない場合が多い
- フライドチキンなど意外な料理とワインの組み合わせも、個人の好みを重視した多様な挑戦が大切
ワインを少しでも飲んだことがある人なら、一度は聞いたことがあるであろう話がある。「牛肉には赤ワイン、魚には白ワイン」。まるで公式のように考えられているこのペアリングルールのせいで、多くの人が牛肉と白ワインを一緒に飲むことを躊躇してしまう。しかし、本当に牛肉に白ワインを飲むことが「ワイン初心者」の行動なのだろうか?
実は、私たち日本人が特に好むマーブリングが豊富な和牛には、重くて脂っこい味を軽やかに洗い流してくれる白ワインの方がよく合う場合が多い。これは単純な個人的な好みを超えて、実際にソムリエや料理研究家たちも認める組み合わせなのだ。
和牛・牛肉と白ワインがよく合う理由
和牛マーブリングの特徴:
- 白い脂肪が肉の間に均等に分布
- 豊かな味と柔らかい食感を提供
- 同時にかなりの脂っこさを伴う
白ワインがマーブリングとよく合う理由:
- 酸味が脂の重さを中和する
- 油っこい料理にレモンサワーや炭酸水を飲むのと同じ原理
- マーブリングの豊富な脂肪をバランスよく支える
- 肉本来の旨味を引き立てる役割
日本人が愛する和牛の最大の特徴は、まさに白い脂肪が肉の間に均等に分布したマーブリングだ。このマーブリングは肉に豊かな味と柔らかい食感をもたらすが、同時にかなりの脂っこさを伴う。東京・銀座の老舗和牛専門店の店主は「脂肪の多い肉ほど、その脂っこさを抑えるために白ワインやスパークリングワインがよく合う」と語る。
白ワインの酸味は脂の重さを中和する役割を果たす。まるで天ぷらを食べる時に大根おろしと一緒に食べると口の中がさっぱりするのと同じ原理だ。特に酸味の高い白ワインは、マーブリングの多い牛肉の豊富な脂肪をバランスよく支えながらも、肉本来の旨味を引き立ててくれる。
肉と赤ワインは失敗がない安全な選択
それでは、なぜ人々は依然として牛肉に赤ワインを推奨するのだろうか?答えは簡単だ。赤ワインは「安全な」選択だからだ。牛肉と赤ワインの組み合わせが完璧でなくても、少なくとも違和感や奇妙さはない。一方、間違った白ワインを選ぶと肉の味を損なう可能性もあるため、相対的にリスクがあると考えられている。
しかし、この「安全第一」の考え方が、かえって新しい味の体験を妨げているのではないだろうか?ペアリングがうまく合わなければ確実に物足りなさが残るが、逆に完璧な組み合わせを見つけた時の感動は何物にも代え難い。
フライドチキンと赤ワインの組み合わせを絶賛する人がかなり多い。KFCのオリジナルチキンや、グッネチキン(굽네치킨)の韓国風フライドチキン、CHICKEN TIME、BBQなど、各ブランドのチキンのサクサクした食感と油分、そして赤ワインの豊かな味が予想外によく合うというのだ。ある人は「デイリーで飲む赤ワインをチキンと合わせると本当によく合う」とレビューを残している。
煮込み料理と赤ワインの組み合わせも注目に値する。豚の角煮のような濃厚な煮込み料理に適度なボディ感と果実香を持つ赤ワインを合わせると、驚くべきシナジーを体験できる。ボディのあるワインが脂っこい豚肉の味と脂肪の香りを抑えながらも、醤油ベースの深い味と調和する。
失敗しないワイン選び
ワインペアリングに自信がないなら、いくつかの安全な選択肢がある。**ニュージーランド ソーヴィニヨン・ブラン(New Zealand Sauvignon Blanc)**は、どんな状況でも失敗しないワインとして定評がある。どの価格帯の製品を選んでも、一定水準以上の満足を保証する。成城石井やカルディで手に入る手頃な価格帯のものでも十分に美味しいという評価が多い。
ペアリングに迷う時は、シャンパーニュ(Champagne)やカヴァ(Cava)、クレマン(Crémant)のような**スパークリングワイン(Sparkling Wine)**を選ぶのも良い方法だ。炭酸があるワインは大部分の料理と無難に合い、特に油っこい料理との相性が抜群だ。ゼロ・ドザージュ(Zero Dosage/糖分を添加しない)シャンパーニュとフライドチキンの組み合わせを推奨するソムリエもいるが、これはドライなスパークリングがチキンの油分をすっきりと整理してくれるからだ。
状況別推奨ワインリスト
マーブリング豊富な和牛と一緒に:
- ロバート・モンダヴィ ナパヴァレー フュメ・ブラン(Robert Mondavi Napa Valley Fumé Blanc/アメリカ) 30%程度フレンチオーク熟成、トロピカルフルーツ・バニラ・スモークのニュアンス、酸度も鮮明 脂肪が適度なサーロイン・リブロースを炭火で焼き、バター・ハーブで仕上げ。オークから来るスモーキートーンがグリルの香りとシナジー
- ペトリ フュメ・ブラン 2019(Petri Fumé Blanc 2019/ドイツ・ファルツ) 9ヶ月樽熟成、パイナップル・ライチ・トースト・蜂蜜 リブロース・カルビのような肉汁の多い部位。ほんのり甘いトロピカルフルーツの香りがマーブリングの香ばしさを強調
- パスカル・ジョリヴェ サンセール・ブラン(Pascal Jolivet Sancerre Blanc/フランス・ロワール) ステンレス熟成、ライム・グーズベリー・フリント、鋭い酸度 フィレ・赤身など脂肪の少ない部位をミディアムレアで焼き、ルッコラ・レモン汁を添えて。酸度が肉の旨味を引き立てる
- フェラーリ・カラーノ フュメ・ブラン(Ferrari-Carano Fumé Blanc/アメリカ・ソノマ) ハーブバターステーキ・カルパッチョのように比較的ライトな調理法。酸味で口の中をリフレッシュし、オークタッチが肉の風味を引き立てる
チキンや揚げ物と一緒に:
- フライドチキン(KFC、グッネチキン、BBQなど):シャンパーニュ(Champagne)、プロセッコ(Prosecco)、ドライリースリング(Dry Riesling)
- 手羽先:リースリング(Riesling)、ランブルスコ(Lambrusco)、コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ(Côtes du Rhône Villages)
- テリヤキチキン:スパークリングワイン(Sparkling Wine)、タンニンのある赤ワイン
和食と一緒に:
- 焼き鳥:ボジョレー(Beaujolais)、ピノ・ノワール(Pinot Noir)
- 豚の角煮:ミディアムボディ赤ワイン(Medium Body Red Wine)
- 天ぷら:ゲヴュルツトラミネール(Gewürztraminer)、ソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)
初心者のための安全な選択:
- ニュージーランド ソーヴィニヨン・ブラン(New Zealand Sauvignon Blanc):どんな料理とも無難
- プロセッコ(Prosecco):コストパフォーマンスの良いスパークリング
- チリ カベルネ・ソーヴィニヨン(Chilean Cabernet Sauvignon):負担のない価格の赤ワイン
意外な料理とワインの組み合わせ
和食とワインのペアリングは、まだ探索する領域が無限にある。焼き鳥と軽めの赤ワインの組み合わせはすでに多くの人に愛されており、もつ鍋と赤ワインを一緒に楽しむ人も増えている。洋食でも意外な発見があり、濃厚なカルボナーラを食べる時に白ワインを飲むと、まるでレモンサワーと唐揚げを食べるような爽快感を感じることができるという。
もちろん、すべての組み合わせが成功するわけではない。ペアリングが失敗する場合も確実にある。例えば、刺身と重い赤ワインを無理にマッチングすると魚臭さが増幅されて、料理とワイン両方を台無しにしてしまう可能性がある。しかし、このような失敗も私たちの味覚を発達させる貴重な経験となる。重要なのは失敗を恐れずに様々な試みをする勇気だ。
結局、最も重要なのは個人の好みだ。どんなに専門家が推奨するペアリングでも、本人が好まなければ意味がない。酸味のある酒が嫌いな人には、どんなにペアリングが良いと言っても白ワインより本人が好む日本酒や焼酎がより良い選択になりうる。
ワインペアリングに対する過度な強要や硬直したルールは、かえってワインを楽しむ面白さを半減させる可能性がある。「ただおつまみとお酒が飲みたいのではありませんか?」という率直な意見のように、時には複雑な理論より単純な楽しさがより大切な場合もある。
牛肉に白ワインを飲むことが「ワイン初心者」だという偏見は、もう捨てる時が来た。特にマーブリングが豊富な和牛のような肉には、酸味の高い白ワインやスパークリングワインがより良い選択になりうる。重要なのは開かれた心で様々な組み合わせを試してみて、自分だけの好みを見つけていくことだ。
ワインと料理のペアリングは決まった答えがある数学の公式ではない。個人の好み、その日の気分、一緒にいる人たち、さらには季節や時間帯までもペアリングの成功の可否に影響を与えることができる。だからこそより興味深く、より個人的な体験になるのだ。
今度マーブリングの良い和牛を前にしたら、赤ワインだけにこだわらず白ワインも一度試してみよう。そしてフライドチキンと赤ワイン、天ぷらと白ワインのような意外な組み合わせも恐れずに挑戦してみよう。新しい味の世界があなたを待っているかもしれない。