Kiro IDE使用方法まとめ(2025年8月最新版)
3行要約 / 3行まとめ
- Kiro IDEはAWSがリリースしたAIベースの統合開発環境で、仕様駆動開発と自動化フックによりプロトタイプから本番環境まで体系的な開発をサポート
- 既存のVS Code設定をそのまま使用しながら、Steering Docs自動生成、Agent Hooks自動化、自然言語ベースのAI開発機能を活用可能
- 開発者が要件を明確に定義し、AIと対話型で開発する新しいパラダイムを提供
大部分の開発者がAIコーディングツールを使用していると、このような経験をしたことがあるでしょう。AIが一生懸命コードを作成したのに、いざ見てみると自分が望んでいた機能とは全く違う結果物が出てきた経験のことです。AWSがリリースしたKiro IDEは、このような「ノリコーディング」の限界を超える新しいアプローチを提示します。2025年7月に公開されたこの革新的なツールは、仕様ベース開発と自動化機能で開発プロセスを根本的に変えています。
Kiro IDEとは何か?
Kiroは概念から本番まで、AIエージェントと共に作業できる新しいエージェンティックIDEです。既存のAIコーディングツールが単純にコード生成に集中していたとすれば、Kiroは計画と構造を重視する開発方式を採用しました。
Kiroは「ノリコーディング」に優れていますが、それ以上を提供します。Kiroの真の強みは、仕様やフックのような機能を通じてプロトタイプを本番システムに発展させることです。
主な特徴は以下の通りです:
- VS Codeベース: 既存の設定と拡張機能をそのまま使用可能
- Claude AI搭載: Anthropicの高性能言語モデル活用
- 仕様駆動開発: 要件を明確に定義した後に開発進行
- エージェントフック: ファイル変更時の自動化作業実行
インストールと初期設定
1. インストール過程
Kiro IDEのインストールは簡単です。公式ウェブサイト(kiro.dev)でオペレーティングシステムに合ったバージョンをダウンロードしてください。Mac、Windows、Linux全てサポートしています。
2. 初回ログイン設定
インストール後初回実行時にログイン画面が表示されます。GitHub、Google、AWS Builder IDなど様々な方式で登録できます。開発者ならGitHub連携をおすすめします。
3. 環境設定最適化
- VS Code設定のインポート: 既存のVS Code環境があれば設定と拡張機能をインポートできます
- テーマ選択: ダークまたはライトテーマ設定
- Shell統合: ターミナルで
kiro .
コマンドでプロジェクトを直接開けるよう設定
プロジェクト開始
プロジェクトフォルダ接続方法
既存プロジェクトを開く:
- Kiro実行後「Open Project」選択
- またはターミナルでプロジェクトフォルダに移動後
kiro .
コマンド実行
新規プロジェクト作成ももちろん可能で、ローカルとリモートプロジェクト両方をサポートします。
Steering Docs:仕様ベース開発の核心
自動生成機能
プロジェクトを開いた後、最初にすべきことはSteering Docs生成です:
- 左側サイドバーの**Ghostアイコン(Kiro Panel)**をクリック
- **「Generate Steering Docs」**を選択
- 自動的に
product.md
、structure.md
、tech.md
などが.kiro/steering/
フォルダに生成
仕様文書カスタマイズ
生成された文書を開いてプロジェクト目的、アーキテクチャ、開発ルールなどを具体的に作成または修正してください。例えば:
- product.md: プロジェクトのビジネス目標と要件
- structure.md: コード構造とアーキテクチャパターン
- tech.md: 使用する技術スタックとライブラリ
必要に応じてテスト戦略、コードスタイルガイドなど追加の仕様ファイルも生成できます。
AIとの対話型開発
Agentic Chat活用
Kiroの核心は計画を開発過程の中心に置く「Vibe Planning」アプローチです。基本チャットインターフェースで自然言語による開発リクエストができます:
対話例:
- 「Reactベースのダッシュボードアプリの基本構造とAPI設計例を作って」
- 「ユーザー認証システムを追加したい、JWTトークン方式で」
- 「データベーススキーマを最適化して」
3段階開発プロセス
Kiroは全ての開発作業を3段階で構造化します:
- Requirements段階: 初期要件を具体的に整理
- Design段階: TypeScriptインターフェース、APIエンドポイント、データベーススキーマなど技術設計文書の自動生成
- Implementation段階: タスク別順次開発進行
各段階で開発者が検討しフィードバックを提供できるため、AIが間違った方向に進むのを防ぐことができます。
Agent Hooks:繰り返し作業の自動化
自動化機能の理解
Kiro Hooksは、ファイル変更時にコードスキャンや文書更新のような作業を自動的に実行するイベントベースの自動化機能です。
実用的なHook例
- テスト自動更新: Reactコンポーネント修正時、該当テストファイルの自動更新
- 文書同期: APIエンドポイント変更時、READMEファイルとAPI文書の自動更新
- セキュリティ検査: コミット前の認証情報漏洩やセキュリティ脆弱性の自動スキャン
- コードレビュー: ファイル保存時のコード品質検査と最適化提案
Hook設定カスタマイズ
必要に応じてHook設定を修正でき、チーム全体の開発一貫性を維持するのに非常に有用です。
高度機能活用
Model Context Protocol (MCP)サポート
Kiroは特別なツールを接続するためのModel Context Protocol (MCP)サポートを含みます。これにより外部データベース、API、モニタリングツールなどと連携できます。
多言語およびフレームワークサポート
KiroはJavaScript、TypeScript、Python、Javaなど主要プログラミング言語を全てサポートし、React、Next.js、Djangoなど人気フレームワークともよく動作します。
チーム協業機能
Kiroは異なるチームが作成した複数仕様を処理できるため、プロジェクトの様々な側面で協業が可能です。
実戦活用ティップス
効果的な仕様作成法
- 具体的な要件明示: 曖昧な表現より明確な機能定義
- 技術的制約事項含む: 性能要件、セキュリティポリシーなど
- 優先順位設定: 核心機能と付加機能の区分
AIとの効率的なコミュニケーション方法
- 段階的アプローチ: 一度に全てを要求せず段階的に進行
- フィードバック提供: AIの提案を検討し改善事項を提示
- コンテキスト維持: プロジェクト全体の文脈を考慮したリクエスト
価格政策(2025年基準)
現在Kiroは公開プレビュー段階で無料で使用できます:
- 無料ティア: 月50回AI相互作用制限
- Proプラン: 月$19、1,000回相互作用(計画中)
- Teamプラン: 月$39、3,000回相互作用(計画中)
プレビュー期間中は制限なく無料で使用できるため、今が体験する最適な時期です。
他のAI開発ツールとの違い
Cursor、GitHub Copilotとの比較
Cursor、GitHub Copilot、WindSurfのようなツールが主にチャットインターフェースを通じたAI支援コーディングに集中する一方、Kiroは根本的に異なるアプローチを取ります。
Kiroの独特な利点:
- 仕様優先開発方式
- 体系的な3段階開発プロセス
- 自動化フックによる繰り返し作業除去
- 本番準備コード生成
Kiro IDEは単純なAIコーディングツールを超えて、開発プロセス自体を革新するツールです。仕様ベースアプローチと自動化機能により、開発者はより体系的で効率的にソフトウェアを構築できます。
Kiroのビジョンは、チーム間設計整合保証からコンフリクト要件解決、技術的負債除去、コードレビュー厳格性強化、そしてシニアエンジニアが離職する際の機関知識保存まで、ソフトウェア製品構築を困難にする根本的問題の解決です。
今、公開プレビューを通じて無料で体験できるので、新しい開発方式を体験してみてください。これからAIと共にする開発の未来がまさにここにあります。